TIRIクロスミーティング2021

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進藤 勇治 氏 インタビューKeynote Speaker Interview01

9/15〜9/24配信 基調講演「中小企業がSDGsに取組むメリット」

事前インタビュー

進藤 勇治氏

進藤産業研究所(旧 進藤技術事務所) 代表

進藤 勇治(しんどう ゆうじ)

大手企業だけでなく、今や多くの企業・団体が注目するSDGs。経済やエネルギー、環境分野などの産業評論家として、わかりやすい解説に定評がある進藤 氏に「TIRIクロスミーティング2021」基調講演でご講演いただいた中小企業のSDGsへの取組み方をお伺いしました。

日本企業がSDGsに取り組む時流はここ2、3年で強まった印象がありますが、そのきっかけは何だったのでしょうか?
また日本のSDGsへの取り組みは、世界的に見てどのような状況でしょうか?

近年、日本経済団体連合会が各業界に向けてSDGsを推し進めていることや、政府が「ジャパンSDGsアワード」を2017年に創設して、優れた取組みを行った企業を表彰するなどの活動を始めたことなどが大きいと思います。
毎年国連が発表している、各国の取り組み達成度をまとめた最新のレポートでは、日本は18位でした。対象は165カ国で、ランキングの上位はヨーロッパ諸国となっています。ヨーロッパ以外では日本が最も高い順位ですので、全体としてはヨーロッパ諸国並みに頑張って取組んでいるといえます。なお、17番目の目標である「パートナーシップで目標を達成しよう」に対して、日本はグローバルでの開発途上国に対するパートナーシップが遅れており、評価を下げる一因になっているようです。

インタビュー風景

SDGsといえば、どうしても会社外、社会や地球環境などの外へ向けたメリットや取組みを意識してしまいがちですが、社内向けにもメリットはあるのでしょうか?

インタビュー風景

SDGsは企業の経営幹部の方からすべての社員の方までが取組めるものです。会社で行っているひとつひとつの活動と結びつけることができます。SDGsの中でも人間社会のあり方を高めていくために、雇用や労務、ジェンダーといった問題を指摘しており、これは日本企業においても会社の規模を問わず重要なテーマです。そうした課題に社内で協力してしっかりと取組み、解決につなげることは社内メンバーにとって大きなメリットになります。また、SDGsに注力している会社として地域社会や取引先に対しても発信していくことで企業の価値が高り、結果的にそこで働く人のメリットになります。

コロナ禍で多くの中小企業の経営が悪化し課題を抱えていますが、そんな中でどのようにSDGsに取り組むべきでしょうか?

SDGs活動は取り組みによって何らかの経済的や労力的な負担を強いるものではありません。各企業、各社員が取り組める範囲で取組んでいけばいいかと思います。また、SDGsの最終的な目標は世界の人々が健康で、しっかりとした福祉の中で生きていくということです。
現在、世界が直面している新型コロナへの戦いもまさにSDGs活動の一環であり、社員ひとりひとりがそうした意識を持って活動に取り組んでいただければと思います。

取り組む際に気をつけなければならないことやポイントは何でしょうか。

インタビュー風景

まずは国連で策定しているSDGsの目的や意義をしっかりと理解することです。17の目標には、平均10個の達成基準があり、さらに細かい項目が示されています。これを見て、新しいことをやるのではなく、企業が日常で行っていることと結びつけていくことが重要です。
今まで普通にやっていたことがSDGsの目標や達成基準につながるとわかれば、それはSDGsを意識した中での活動となり、まさにSDGs活動です。例えば再生可能エネルギーに取り組んでいる、また社業の一部として再生可能エネルギーを扱っている場合は、7番目の「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」に合致するので社業自体がSDGs活動であり、それを広めていくことがその企業が取組むSDGs活動ですとはっきり主張することができます。

インタビュー風景

社内で推し進める部分と社外の知見などを取り入れる部分がでてくると思いますが、その際のポイントは何でしょうか。

社内で実施する出発点として、少ないながらも中小企業も含めてSDGsを実践している企業の多くは、インターネットで成果や理念を公表しているので、自分たちと類似する企業を事例として参考にすることもよいでしょう。社外の知見を取り入れる場合は、ISO取得のようにSDGsにもコンサルタント会社もありますので、そうした会社に相談しながら進めていくのもよいでしょう。

取組みを始める中小企業は、都産技研をどのように利用していけばよいでしょうか。

豊かな社会を目指すには産業の発展が欠かせません。特に製造業を中心とする技術革新で産業を発展させていけば、国際社会の発展につながります。
都産技研は技術革新に強みがあり、技術は資源リサイクル、廃棄物処理、健康や医療の技術まで、多くの項目に関わっているので、その点で利用してはどうでしょうか。
また、都産技研にはバンコク支所があります。SDGsの17番目のパートナーシップは国連の原文を読むとグローバルにおける途上国支援を指していますが、日本では地域社会との協力に偏重しているので、まずはタイ支所を利用して技術革新を進めて、地球規模での発展を目指してはどうでしょうか。

中小企業がSDGsへ取組むことには障害があると考えられがちですが、
進藤氏には中小企業こそSDGsに取組むメリットがあるということについてお話しいただきました。

進藤 勇治(しんどう ゆうじ)
産業評論家、1951年生まれ。東大卒、工学博士。
通商産業省で国際協力の行政ならびにエネルギー・環境問題の研究を行う。国費派遣によりマサチューセッツ工科大学客員研究員、滞在先はH. Kent Bowen教授(後にハーバード大学教授)の研究室。通産省国際研究協力企画官、東京大学特任教授等を歴任し、現在は進藤産業研究所(旧 進藤技術事務所) 代表。
企業の顧問やコンサルタント、講演、執筆等を行う。